この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



どうしてだろう。こんなにも助けられてきたのに、宗司くんは昔の宗司くんじゃないこともわかっているのに。あたしのことを好きになってくれたのが嘘じゃないことも、ちゃんとわかっているのに。

宗司くんが言っていた通り、〝悠聖に近すぎるから〟なのかな。

それとも──。

「ねえ、宗司くんは……運命の人っていると思う?」

「……は? なにそれ。少女漫画の話でも始まんの? 俺読んだことないからついていけないんだけど」

「え……ごめん」

どうして今このタイミングで宗司くんに訊いちゃったんだろう。

なぜか今言いたくなった。宗司くんに訊いてみたくなった。だけど完全にタイミングを間違った。

宗司くんの顔がみるみるうちに曇っていく。いつものにこにこ宗司くんでも、数分前の真剣な宗司くんでも、ほんの数秒前の傷ついていた宗司くんでもない。

今の彼は、あたしが見慣れている意地悪な宗司くん……よりも、ちょっと苛立っているように見える。

「あ、あの、ごめ──」

「知らないけど、そんなの自分で決めることなんじゃないの?」

答えてくれるんだ。

「誰かが『チナの運命の人は宗司だよ』って言ったら、俺と結婚してくれるの? つーか考えてみたら俺けっこう運命の相手っぽくない? 今まで何回も偶然再会して、知り合ってからなんだかんだ付き合い長いじゃん」

「ちが、あの、ごめ──」

「何回も謝んないでくんない? 余計傷つくから。ほら、運命なんて結局ただのこじつけでしょ。好きな奴のこと運命の人だって思い込みたいだけじゃん。それとも俺に『チナちゃんの運命の相手はきっと悠聖くんなんだよ』とでも言ってほしいの? たった今振った相手に? バッカじゃねーの」