この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



他の人と違ったのは、悠聖の存在を知らないこと。悠聖と一切関わりがないこと。

悠聖という存在が近くにあると、どうしても考えてしまうから。思い出してしまうから。頭から離れなくなってしまうから。

そしてたぶん、もうひとつあった。

悠聖といた頃のあたしを知らないこと。

知られていたら、一点の曇りもなく幸せに笑っていた頃のあたしと比べられてしまうかもしれないから。

あたしは最初から、あの頃みたいに──悠聖以外の誰かをあんなに好きになれないことも、あんな風に思いっきり笑えないこともわかっていたのかもしれない。

ううん、そうなれないと諦めていたのかもしれない。

──あたし、は。

もし嫌われたのが悠聖のお母さんだったら、どんなに拒絶されても、認めてもらえるように頑張ったんじゃないかな。

卒業したら一緒に住もうって言ってくれたのが悠聖だったら、どんな壁があっても喜んで頷いてたんじゃないかな。

悠聖がくれた香水なら、たとえあまり好きな香りじゃなくても毎日つけて、そのうちきっと、好きな香りになってたんじゃないかな。

ネックレスだって、会う日は忘れずに必ずつけていたんじゃないかな。

「俺さ。女の子の泣き顔けっこう好きなんだけど」

「最低」

「でも高校の時に悠聖くんの隣で笑ってるチナちゃん見て、この子の笑った顔すげえ可愛いじゃんって思ったんだよ。……でも今思えば、あの笑顔は悠聖くんにしか引き出せないんだろうね」

〝好き〟という言葉で真っ先に思い浮かべるのは、あの頃の悠聖に対する気持ち。