宗司くんは困惑しているあたしの腕を引いて起こし、ベッドの上で向かい合った。
「……似合うとかあるの?」
「あるでしょ。チナちゃんって昔からバカだけど、ほんと呆れるくらいバカだけど、こういうバカさじゃないんだよ」
意味がわからないし、さりげなく当然のように「バカ」とか連発しないでほしい。
思いっきり否定できないのが悲しいけれど、いくらなんでも失礼にもほどがある。
「俺……チナちゃんがなんで今の彼氏選んだか、なんとなくわかるよ」
「え?」
「彼氏できたって聞いた時、誰でもいいなら俺でいいじゃんって言ったの覚えてる?」
はっきりと「誰でもいいなら」とまでは言ってなかったような。あたしの読みは当たっていたらしい。
「誰でもいいわけじゃなかったんだよね」
「どういうこと?」
「チナちゃんの彼氏選びには、あの時ひとつだけルールがあったんだよ」
ルール?
そんなのあっただろうか。自分じゃわからない。
単に、誰に告白されても気持ちが動かなかっただけ。
あんなに大好きだった椎名ですらダメだったのに、陸に告白された時は悩んだから、他の人と違うなにかを感じたのだと思った。
「なに?」
「悠聖くんから離れてること。だから、悠聖くんに近すぎる俺は絶対に選ばれない」
「……悠聖から、離れてること?」
「そう。あと俺、悠聖くんと顔似てるんでしょ? 昔からよく言われるんだけど」
冗談めいた口調で言いながら、自分の顔を指差して自嘲気味に笑った。
そっか。否定したいのにできなかった。否定どころか、そうだったんだと納得してしまったのだ。


