この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



そんなに眠くはなかったはずなのに、やけに体がだるい。ちょっと歩いただけなのに、寒さのせいで普段の何倍も体に負担がかかったのかもしれない。

ほっとして急激に疲れが出たんだろうか。

だから。

「ドライヤー持ってくるね」

「……乾かしてくれる?」

こんなことを言ってしまうのも──宗司くんの笑顔を見て安心しているのも、こんなところについてきたのも。

全部全部、少しぼうっとしている頭のせい。

「甘えんぼさんだね」

──あたし、悠聖の夢を見た気がする。

だるい体を起こす。ドライヤーを持ってきた宗司くんは、あたしの髪を優しくすくって温風をあてた。

「宗司くん、なんだかんだ優しいよね」

「なんだかんだって」

「だってあたしには意地悪ばっかり言うじゃん」

ああ、とまた短く笑う。否定はしないんだ。

「男が女の子に優しくするのは、下心があるからだよ。チナちゃんは俺のこと相手にしてくれないから、優しくする必要ないじゃん」

つまり今こうして優しくしてくれるのは、そういうことだ。

本当に最低な人。笑い事じゃないのに、そんな本音を悪気もなく正直に言ってしまう宗司くんに少し笑った。

それにあたしはもう、人に最低と言える立場じゃない。

「やっぱスッピンだとちょっと幼いよね。なんか懐かしい」

「童顔だからメイク頑張ってるの」

「ああ、ね。まあ俺も人もこと言えないけど。中学の頃よりは大人っぽくなったよ」

濡れた髪をすくいながら丁寧に熱をあて続ける。

宗司くんって下心を満たすためにどこまで優しくするんだろう。もしかしたらすごく努力家なんじゃないかとさえ思ってしまう。