「……うん」
「もうこんな時間だし、仕事のあとに飲み会行ってちょっと疲れてるし、往復二時間運転するのは正直ちょっとキツいんだよね」
「………」
「うち、来る?」
どうしてなにも考えずに電話しちゃったんだろう。
だけど頼れる相手が宗司くんしか浮かばなかった。そもそも、なにも考えずに家を飛び出したりしたからダメだったんだ。
もう最終バスがないことも、歩いて帰れる距離じゃないことも、考えなくたってわかるはずなのに。
あたし、もしかして──家を飛び出たあの時、もう宗司くんのことが浮かんでいたのかもしれない。宗司くんが迎えに来てくれるって信じていたのかもしれない。
だって前に会った時の宗司くんは、今までと少し違う気がしたから。
あたし、本当にバカだ。
「……うん」
それでも電話をしたのは、ひとりでいたくなかったから。それだけだった。
宗司くんは、よかった、とにっこり微笑んだ。


