陸と付き合ってから二年間、一度もあたしの部屋に入れたことがない。入れられるはずがなかった。
だって、あたしの部屋は今でも四年前と変わっていないのだから。
引き出しにはまだ、修学旅行のお土産とペアリングが眠っている。
ネクタイだって制服と一緒にクローゼットにしまってある。
机の上には、誕生日に、彼女になった日にくれた、桜の花束を胸に抱いた青いクマ。
クマの首もとには、〝Y〟の形をしたキーホルダーが光っている。
──あたしの部屋は、四年前で止まったままなのだから。
陸の鋭い目が痛い。
なにも言い返せないあたしは、涙をこらえきれなくなって、バカのひとつ覚えみたいに家を飛び出した。