この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



いつからだろう。陸はあたしと付き合い始めた頃からずっと元カノと会っていて、だけどそれはお母さんと元カノの仲がいいからで、ただ実家でご飯を食べたりしていただけで──。

そこから、だろうか。そこからすでに嘘だったんだろうか。

手に持ったままだったスマホをテーブルに置こうとして、手を伸ばして、止めた。伸ばした腕をまた曲げて、また画面に目線を落とした。

画面をスワイプしてみると、ロックはかけられていなかった。流れ作業みたいにLINEを開いた。さっき通話をタップした時と同じように、なんの迷いもなく。

彼氏のスマホを見るなんて、あたしにはそんな怖いこと絶対にできないと思っていたのに。小心者のはずのあたしの心臓は今、怖いくらい静寂を保っていた。

メッセージの履歴を遡っていく──までもなく、わりと上部に『志保』がいた。その名前をタップすると、あたしと同じくらい、もしかしたらそれ以上に頻繁に連絡を取り合っていた。

こういうのって消しておくものじゃないのかな。ロックしていないどころかメッセージを丸々残しておくなんて。

あたしとはあまり会ってないから油断してたのかな。あたしは勝手にスマホを見たりしないと思ってたのかな。まああたし自身、つい数分前まではそう思っていたけれど。

さすがに浮気の証拠とまで言えるような明確なやり取りはなかったにしろ、なんだかもうどうでもよくなった。

浮気してようがしてなかろうが、陸はあたしとの約束を破って、ずっと元カノと会っていた。

それが全てだと思った。

すうっと体の中からなにかが抜けていくような感覚がして、画面を開いたままスマホをテーブルに置いた。