やっぱり聞いてねえんだな、と言った彼の声は、今はもう怒っているというより、まるであたしのことを憐れんでいるみたいだった。

三人で会った? いつ?

あたしなにも知らない。陸とは相変わらずあまり会えていないけれど、連絡は取り合っている。

でも陸はそんなことひと言も言っていなかった。

『悪かったな』

電話が切れる。無機質な音を発するスマホを耳にあてたまま、あたしはただただ呆然としていた。

たった今聞いた話が、頭の中で何度も何度もループする。

陸は今でも元カノと会ってるんだ。あたしに隠れて会ってるんだ。

それは前みたいにご飯を食べたり実家で会ったりしてるだけじゃなくて──浮気、してるんだ。

どうして?

陸はヨリを戻す気はないと言っていた。お金のことだって、喧嘩してからは振込にしてると言っていたのに。

ていうか元カノだって、彼氏がいるのにどうして陸と会ったりするの?

こんな話を突然聞かされたあたしは、とても現実だと思えなくて、涙も出てこなかった。