この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



謝ることができたのだって、宗司くんが先に謝ってくれたからだ。そうじゃなかったらあたしは絶対に謝らなかったし、それ以前に自分が悪かったなんて思えなかった。

もう二度と会いたくないって、本気で思ってた。

「いい子だよ。悠聖くんは、チナちゃんのそういうところが好きだったんだろうね」

今のは意地悪じゃないよ、と小さく笑って、また前を向いた。

そういえば、悠聖も宗司くんと似たようなことを言っていた。

──チィはグレてない。いい子だよな。

あたしはまだ、悠聖が好きでいてくれた、幸せを願ってくれた〝チィ〟でいられてるのかな。

「……悠聖くん、か」

宗司くんはひとり言みたいに小さく呟いた。

あたしの反応を窺うようにちらりと視線を向けて、またすぐに前を向く。信号が青に変わる。

アクセルを踏むと同時に、宗司くんが今度ははっきりと口にした。

「俺中学ん時、悠聖くん大っ嫌いだったんだ」

「えっ?」

なんだ急に。なんでそんな話になるんだ。

「悠聖くんのこと小学校の時から知ってるんだけど、昔からすげえかっこよくてさ。男の俺でもちょっと憧れるくらい。でも中学入って久しぶりに会ったら、すげえチャラ男になってて幻滅したな」

「人のこと言えないでしょ」

「悪いけど俺よりひどかったよ。彼女いようが浮気も二股も当たり前だったし」

挑発するように微笑んだ宗司くんに、これは嫌味なんだとわかった。

言い返してやりたいけれど、時すでに遅しだった。悠聖の過去の悪行は紀子さんと望悠ちゃんに散々聞いてしまったのだから。

「……そうかもね」