この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



「ねえ陸。浮気してるの?」

浮気を疑った時、証拠をつかむまで泳がせたほうがいいとか聞いたことがある。たぶんこんなメッセージはいくらでも言い訳ができるだろうし、決定的な証拠にはならないのかもしれない。

だけどあたしはもう、ただただ自分の中にあるもやもやをすっきりさせたい。

何事もなかったみたいにスルーできない。

「……浮気は、してない」

一瞬間が空いたのと浮気「は」ってなんなんだろう。

「じゃあなに? メッセージ見た感じ、頻繁に会ってるみたいだったけど」

「あー……」

「あたし、先週煙草のこと訊いたよね。あの吸殻、このメッセージの子じゃないの?」

「んー……」

浮気されたのなんか初めてなのに。中学生の頃に浮気された乃愛の話を聞いた時、あたしはとてもじゃないけど問い詰めたりできないと思っていたのに。

口が勝手に動いてるみたいに、どんどん言葉が出てくる。なるほどこういうことなのかなって、妙に冷静になっていく。

そんなあたしとは裏腹に、陸は「あー」とか「んー」とか言い続けている。

こういう時って、必死に言い訳したりするんじゃないのかな。ちゃんと答えてくれないと困るのにな。

「りっちゃん家って、この家に入れたの? この家で会ってたの?」

「いや、それは違う! この家には一回も入れてない!」

弾かれたように顔を上げた陸は、必死に首を横に振る。

ほっとしたいところだけど、あたしはなんとなくわかってしまった。「この家」じゃない「陸の家」はひとつだけ。

「……元カノ、なんだ」

あの日のことを思い出す。