この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



「んー……なんていうか、とにかく最低だった」

紀子さんが煙草に火をつける。

「うん、最低だったよね。うちらからしてみれば、ゆうが彼女に優しいとかありえないもん」

「ね! あたし悠ちゃんの口から『彼女めっちゃ可愛い』って聞いた時は耳を疑ったもん。デレデレして、なんなら語尾にハートマークついてたよ? 超ゾッコンだったよ?」

「中学の頃から女なんてとっかえひっかえしてたのに、そのくせ彼女に対してまるで興味なさそうだったもんね」

「あいつ彼女のこと『彼女』どころか『人間』とすら思ってないんじゃないかなって思うくらい態度ひどかったよね。高一の時の彼女、よく教室まで来ててさ。悠ちゃん機嫌悪かったらフツーにシカトして出てったりしてたよ」

「あー、わかる。家でもそういう時あった。機嫌の良し悪し激しすぎ」

「あと中学の時ね、廊下で別れてたことあったよ。その時の彼女が悠ちゃんにくっついて、今日も遊びたいーって甘えたら、『お前うぜえから別れる』って」

「はあ? いきなり? 最っ低だね! あいつ優しさの欠片もなかったよね。妹のあたしでさえ昔はちょっと怖かったもん」

「わかる。怒った時の目つきがヤバかったよね。てか実際にヤバかったよね。悠ちゃんが喧嘩してるとこ何回か見たことあるけど、相手もう死ぬんじゃないかってくらいヤバかったよね」

「ゆう昔から短気だったもん。あたしもしょっちゅうキレられてたし。さすがに手は出してこなかったけど」

「中学の時は特に気性荒かったよね。キレたら歯止め利かなくなるし。おかげで一緒にいるあたしたちまで後輩からビビられるビビられる」