この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



陸との付き合いももう一年近く経つけれど、あの頃とはやっぱりどこか違う。

──俺は千夏との将来のこととか考えてるから。

陸の言葉が嬉しかった。すごく、嬉しかった。

だけどあたしはまだ学生だし、これからずっと夢だった仕事に就いて、どんどん忙しくなると思う。

やっぱり──結婚なんてまだまだ考えられない。

「それに、あの悠ちゃんが……ねえ?」

考えに更けていると、神妙な面持ちで紀子さんが言った。

あの悠ちゃんって、どの悠ちゃんだろう。

なんだか少しドキリとした。

「ねえ。チナちゃんと付き合ってる時のゆう、優しすぎて気持ち悪かったもん」

「もう別人だったよね。ほんと、どちら様ですか? って感じ」

〝あの悠ちゃん〟を思い出しているのか、ふたりはうんうんと同時にうなずく。

そうだ。当たり前だけど、ふたりはあたしが知らない悠聖を知ってるんだ。

悠聖は「昔は相当遊んでた」と自分で言っていたし、ふたりが言ってるのはきっとそのことだ。

「悠聖って、昔はどういう人だったんですか?」

悠聖から聞いたのは、近寄ってくる女の人に手当たり次第に手を出していたということ。あたしはそれしか知らない。

「あ……なんか、あたし余計なこと言っちゃったかな。てか今さらだけど、さっそく悠ちゃんの話しちゃってるし……ごめん……」

「大丈夫です。昔遊んでたっていうのは悠聖から直接聞いてたし、話聞いてみたいです」

あたしと付き合っていた時はとにかく優しかったからあまり深く考えたことはなかったし、正直詳しくは聞きたくなかった気持ちもある。

だけど今なら聞けるし、聞きたいと思う。あたしが知らない悠聖。