どっちに座ろうか悩んでいたら、紀子さんに「こっちおいで」と言われたから、素直に紀子さんの隣に座った。
『悠聖』という繋がりを持った三人。共通点はあるものの、改めて考えると不思議なメンバーな気がする。もちろんこうして三人でお茶をするなんて初めてだ。
三人ともお腹は空いていなかったから、ケーキセットを三つ頼んだ。
「チナちゃんほんと久しぶりだね。元気だった?」
隣に座っている紀子さんがくりくりの目を輝かせる。
「チナちゃんとゆうが別れてからね、連絡先聞いておけばよかったーって後悔したんだよ」
望悠ちゃんが言うと、紀子さんが「あたしも」もうなずいた。
紀子さんにとっては『友達の彼女』で、望悠ちゃんにとっては『お兄ちゃんの彼女』という存在だと思っていたのに、『チナ』として認識してくれていることが嬉しい。
「あの頃はさ、ゆうとチナちゃんが別れるなんて思ってなかったから、別れたって聞いた時めっちゃびっくりしたよー。このまま結婚するのかなって思ってたし」
あの頃、当たり前に想像していた悠聖との未来。
当事者のあたしたちだけじゃなく、他の人からもそう見えていたことが少し嬉しかった。
「あたしもだよ。中高生の頃ってさ、一年とか二年とか付き合ってたら、イコール結婚って思ってた気がする」
紀子さんが言うと、今度は望悠ちゃんが「あたしも」とうなずいた。
そういえばあたしもそうだった気がする。
今も大人かは微妙なところだけど、中高生の頃は間違いなく今よりずっと子供だった。
あの頃の一年や二年はとても長くて、とても貴重だった。
その貴重な時間をともに過ごしていたからこそ、当然のようにこれからもずっと一緒にいられると、バカみたいに心の底から信じていた。
目の前にあるものだけを、無条件に信じられた。


