この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。




「え? ちょっと待って、チナちゃん⁉」

数日後、学校の帰り道。

ひとりで駅を歩いていると、あたしの名前を呼ぶ懐かしい声がした。

振り返ると、高校時代に可愛がってくれていた先輩──悠聖の幼なじみの紀子さんがいた。

あたしに向かって、腕をブンブンと大きく振っている。

「紀子さん!」

あたしのほうへ歩いてくる紀子さんの隣には、

「え? 望悠ちゃん⁉」

望悠ちゃんは紀子さんに負けじと大きく腕を振っている。

紀子さんと望悠ちゃんって、どういう組み合わせだろう……?

ふたりはあたしの前に立つと、「ほんと久しぶり!」とふたり同時にあたしに抱きついた。

「え、なん、」

言いかけて気づいた。

紀子さんは悠聖の幼なじみで、望悠ちゃんは悠聖の妹なのだから、つまりふたりも幼なじみなのだ。冷静に考えてみれば一緒にいてもおかしくない。

悠聖と望悠ちゃんは、顔はあまり似ていないと思っていたけれど、久しぶりに会ってみるとやっぱり同じ血が通っているだけあって、笑った顔は少し悠聖の面影がある。

「チナちゃん、学校帰り? 今からふたりでカフェ行くんだけど、よかったら来ない?」

紀子さんがにっこり笑う。

高校時代はいつも悠聖たちと一緒にいた紀子さんは、あたしのことをすごく可愛がってくれていた。望悠ちゃんは、悠聖と付き合っていた頃によく遊んでくれた。

お世話になったふたりの誘いを断る理由なんかあるわけがなくて、「はい!」と大きくうなずいた。

駅の近くのカフェに入ると、紀子さんと望悠ちゃんが向い合わせに座る。