この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。




その日のうちにくると思っていた椎名からの連絡はこなくて、今日か今日かと落ち着かないまま過ごしているうちにゴールデンウイークに突入した。

なかなか連絡がこないことを少し気にしていることは――あたし自身なんとなく認めたくない気持ち。

変なことを吹き込んできた張本人の乃愛は、連休前にめでたくできた三年生の彼氏と会っているから、あたしは久しぶりに一日中家で過ごしていた。

そして、部屋で大泣きしていた。枕に顔を埋めて、声を押し殺して。

つい十分ほど前にお姉ちゃんと大喧嘩をして(もとい一方的に暴言という名の銃弾を十五分間ほどぶっ放され続けて)見事にメンタルが大崩壊したのだ。

何時間経ったんだろう。何時間泣き続けたんだろう。

スマホが鳴ったことに気づいて、たぶん涙でぐちゃぐちゃになっている顔を上げた。

画面には登録されていない番号が表示されている。それなのに、なんとなくわかった。そして少しドキッとした。

たぶんだけど──。

急いで鼻水をかんで、小さくコホンと息を整えて、通話に切り替える。

「……はい」

『もしもし? 椎名だけど』

乃愛に冷やかされているうちに、あたしも少なからず意識してしまっていたことは否めない。

まだ十三歳でまだまだ恋愛初心者のあたしにとって、異性にあんなことを言われたら、もしかすると自分のことを気にしてくれているのかと思い始めたら、嫌でも気になってしまうのは当然のことだった。

そして極めつけにこの電話だ。

連絡先を訊かれた日に連絡がくるよりも、あたしが辛い時に電話がきた。

ただそれだけのことなのに、単なる偶然でしかないのに、奇跡じゃないかと勘違いしてしまうにはじゅうぶんすぎるほどの絶妙なタイミング。