「なんかね。住む世界が違ったのかなって、ちょっとこれからの付き合い考えちゃうよね」

住む世界が違う。

乃愛の言っていることはわかるし、あたしも似たようなことを思った。

今までそんなの考えたこともなかったのに。

「あたしは美容師になりたいし、今から大学行くなんてありえないし。そのうち『あなたなんて準と釣り合わないわ!』とか言われそう」

そうだ。

陸も高卒で就職した時はめちゃくちゃキレられたと言っていたし、あたしはもう女子高生ではないとはいえ、お母さんが毛嫌いしているらしい高校の付属の短大生になるわけで。

認めてもらえる日なんて一生こない気がする……。

「付き合い考えちゃうって……まさか別れるの?」

「んーまだ考え中。準がかばったりしてくれたらまだよかったけど、なんかね。ごめんって謝るだけで、正直ちょっとがっかりした。男はみんなマザコンだって言うもんね」

陸はお母さんに怒ってくれたし、「あいつはバカじゃない」とあたしのことをかばってくれた。

あたしのせいで喧嘩させてしまったことは申し訳ないけれど、正直嬉しかった。

今は、あたしのことが好きだって言ってくれた陸を信じるしかない。