この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



元カノとの電話と関係あるのかな。それとも、留守中にあたしが勝手に上がり込んでたから気分を悪くさせちゃったのかな。

お母さんが帰ってきた時、すぐに挨拶に行くべきだったよね。

陸が戻ってきたら呼ばれた理由を訊いて、もしあたしが原因だったら……いや、もしそうじゃなくても、ちゃんと挨拶して帰らなきゃ。

軽いパニックに陥りながら陸を待っていても、一向に戻ってくる気配がない。

ど、どうしよう。トイレ行きたくなってきた。

こんな状況で勝手に帰るわけにもいかないし、トイレくらいいいよね……?

トイレは階段をおりてすぐだし、リビングからは見えない位置にある。足音を立てないようにそっと降りていくと、陸とお母さんの声が聞こえてきた。

そろりと覗いてみると、リビングのドアは閉まっている。

普通のボリュームで話していればリビングから階段までは聞こえないと思うし、よっぽど大きな声で話してるんだ。

もはやトイレどころじゃなくなってしまった。五秒くらい悩んだ結果、階段の一番下の段に座って耳を澄ました。

「あんた本当に志保(しほ)ちゃんと別れたの?」

『志保』は、さっき陸のスマホに何度も表示されていた──元カノの名前だ。

「だから別れたっつったろ」

「くだらない喧嘩でもしてるだけだと思ってたのに……。志保ちゃん、泣いてたよ。あんたとやり直したいって」

「知らねーよ。俺もう彼女いるし」

「前に外でちょっと見かけたけど……あんた女子高生なんかと付き合ってるの?」

見られてたんだ。

ていうか、「女子高生なんか」って……言い方に棘があるのは気のせいだろうか。