陸に返事をしたのは三日後だった。

本当はちゃんと会って返事をするべきだと思ったけれど、陸はしばらく仕事が忙しいと言っていたし、いつ会えるかわからなかったから。

電話で「よろしくお願いします」と言ったあたしに、陸は「こちらこそ」と小さく笑った。

クリスマスを終え、高校生活最後の冬休みを迎えた。

陸は販売職に就いていて、新店舗ができる時は応援に行ったりする。特に年末年始が一番の繁忙期らしく、せっかく付き合い始めたというのにさっそくすれ違っていた。

初詣は乃愛と一緒に行った。お賽銭を入れて手を合わせる。

──大切な人たちが、みんな健康に、幸せに暮らせますように。

中三の頃は合格祈願をしたっけ。そして、もうひとつの願い。

──悠聖と、ずっと一緒にいられますように。

二年間変わらなかった願い。これからもずっと、絶対に変わらないと信じていた願い。

あの願いは……叶わなかったけれど。

神様の前で、もう一度手を合わせる。

目をつむったあたしが願ったのは──前に、進めますように。

「チナ、おしるこ食べよ!」

「うん!」

乃愛に手を引かれて、出店が並ぶほうへ向かった。ずっと一緒にいた乃愛と当たり前にいられるのも、残すはあと二ヶ月。

お互い地元に残るけれど、あたしは短大、乃愛は専門学校へ進む。いくら家が近所とはいえ、きっと今までみたいには会えなくなる。

少しの寂しさを抱えながら、それを吹き飛ばすようににたくさんたくさん話した。