終電で地元に戻る。家に帰ろうとする乃愛を無理やり引き留めてあたしの家に強制連行した。
もう夜中だし後日報告しようかとは思ったのだけど、今日はすぐに聞いてほしかった。
「どうしたの?」
乃愛がテーブルに肘をついて首をかしげる。
なにから話そうか迷った結果、一番大きな出来事だけ口にした。
「……告白された」
「え⁉」
乃愛は声が高いからよく響く。すごい形相で乃愛が前のめりになったから、つい反射的にのけ反った。
すぐに態勢を戻してもう一度「陸に告白された」と言った。
「え、いつの間に?」
「カラオケの途中、ふたりでちょっとだけ外行ってた時に」
乃愛は覚えていないらしく、眉間にしわを寄せて渋い顔をした。
カラオケはかなり盛り上がっていたから、気づかなくても仕方ない。
「えーいいじゃんいいじゃん」
どこか楽しそうな乃愛が、「モテモテだねえ」とにっこり笑った。乃愛ほどじゃないけど、と心の中で返す。
「チナって毎回相手から告られてるよね。しかもけっこうストレートに」
「え、そんなことないよ。椎名の時とかあたしから告白したようなもんだし」
「でもあれは明らかにチナのこと好きだってわかってたじゃん」
「……そうだけど」
「で、それが相談? 悩んでるの?」
乃愛がテーブルから離れてベッドに寝転がる。
「……うん」
あたしも隣に寝転がると、ベッドの横にある間接照明だけつけて部屋の電気を消した。
「悩んでるってことは、印象はいいんだよね?」
「うん。口は悪いけど、優しいしよく笑う人だし、一緒にいたら楽しい」