この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



――彼氏いなかったらよかったのに、って思っただけだから。

隕石でも降ってきたのかと錯覚するレベルの衝撃を受けた日から一週間。

あの日の帰り道、乃愛に「椎名ってチナのこと好きなの⁉」とか、そんなんあたしが知りたいよってことを問い詰められた。

その二日後には(確信するほどの変化はなにもなかったはずなのに)早くも「椎名はチナが好きだと思う」に変わった。

「なんで?」

「だってチナにはよく話しかけてくるじゃん。あたしとはあんまりしゃべってくんないのに」

「友哉が椎名は女の子苦手だって言ってたよ」

「だから、それなのにチナには話しかけてくるし仲いいじゃん」

たぶん一般的に見れば特別話しかけられているわけでも決して仲がいいわけでもないと思うのだけど、『椎名』というカテゴリーだけで考えると、確かにあの日から椎名にしては話しかけてくれるようになったし、椎名にしては仲良くしてくれているほうかもしれない。

あくまでも、椎名にしては。

「てゆーかね。彼氏いなかったらいいな=好きってことだよ。ひと目惚れでもしたんじゃない?」

今日は昼休みに廊下でこそこそおしゃべり。

いつもはみんな給食を食べ終えるとすぐにグラウンドや体育館へと駆け出していくのに、今日は雨だから教室で騒いでいる。

そのせいで周りを気にせずゆっくりおしゃべりすることができなかったのだ。