「もうすぐクリスマスだねえ」
瑞穂が窓から真っ白な景色を見て呟いた。
「クリスマスもいいけど、先にテストでしょ。卒業かかってるんだからね? それが終わったらすぐに入試なんだから、冬休み中もちゃんと勉強しなよ?」
もう、と呆れながら、梓が四時間目の英語の教科書をトントンと揃えて机にしまう。
チャイムと同時に教科書をしまっていたあたしは、いち早くお弁当箱を鞄から取り出して机に置いた。
「アズは彼氏いるからいいけどね、うちらは勉強より恋がしたいの! 彼氏がほしいの!」
乃愛が「うんうん」と頷く。
彼氏がほしいわけではないけれど、冬休み中に勉強するのはあたしも嫌だから、便乗して「うんうん」と頷いた。
「いいなーアズは。どぉーせ友哉と過ごすんでしょ?」
「そんなわけないでしょ! わたし受験生なんだし! ……よ、予備校のあとにちょっとだけ会うけど」
梓の顔が真っ赤に染まる。
付き合ってからもう二年以上経っているというのに、梓は未だに友哉の話題になるとこの反応だ。いつまでも初々しくて、なぜかあたしがキュンとしてしまう。
「瑞穂、あの人は? 瑞穂の前に座ってた、一番話してた人」
「んー、悪い人じゃないんだけど、あたし年下の方が合ってるのかも」
「なんで?」