この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



「あ、ちょっと待って。電話だ」

ポケットからスマホを取り出すと、画面には【陸】と表示されていた。解散間際に話の流れでみんなで連絡先を交換したのだけど、まさかあたしに、それも陸さんから連絡がくるとは。

電話が切れたところで地元の駅名のアナウンスが流れた。

電車から降りて駅を出る。乃愛が「かけ直せ」とどこか楽しそうに急かすから、不在着信履歴のマークをタップして発信した。

『──もしもし』

「もしもし? どうしたの?」

乃愛は気になってしょうがないらしく、あたしにぴったりくっついてスマホの裏側に耳をあてる。

『今日ありがとな』

「え? あ、うん。こちらこそ」

『もう家?』

「ううん、駅ついたとこ。陸さんはまだ飲んでるんじゃないの?」

『陸でいいよ。今居酒屋だけど、酔いさましに外出てきたとこ。さっきより人数増えてうるせえし』

「そうなんだ」

低い声が止む。

どうしたんだろう。申し訳ないけどあたしは知り合って間もない人に次々と話題を振れるほどのスキルは持ち合わせていないから(中学時代からまるで成長していない)、電話での沈黙は正直ちょっと辛い。

「あの……どうしたの? なにか用事?」

『あのさ。俺回りくどいの得意じゃないから、直球で言っちゃうけど』

「うん?」

『近々また遊ばない?』

「あ、うん。いいよ。いつ? 今ちょうど乃愛もいるから誘って──」

『いや、ふたりで』

ふたり? ふたりで、って? あたしと陸?

なかなか進まない会話に飽きたのかげんなりしていた乃愛は、なぜか目を輝かせてあたしの肩をパシパシと叩く。

『来週か再来週にでも会わない?』