この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



答えられないあたしと瑞穂は、困りながら笑ってごまかした。たぶん苦笑いのお手本みたいになっていると思う。

「はじめまして。梅田(うめだ)準です。実習の時は話す機会なかったけど、こうして会えて嬉しいよ」

目を細めてにっこり笑う。優しそうな人だと思った。

最終日とはいえ教育実習中にナンパしたくらいだから軽そうな人を想像していたのに、全然違う。

たぶん乃愛が連絡先を交換したくらいだからイケメンの部類に入るんだろうけど、黒髪短髪に黒縁眼鏡で、爽やかインテリ系って感じの人。

乃愛が今まで付き合ってきた人はチャラそうな人ばかりだったのに意外だ。口には出せないものの、こういう人と付き合えばいいのに、と思った。

乃愛は準くんの正面である壁側の席に、瑞穂はその隣に座って、あたしは通路側に座った。

あたしたちはそれぞれソフトドリンクを、成人している男性陣はお酒を注文する。

「みんな同じ大学なの?」

ひと通り簡単な自己紹介が終わると乃愛が言った。

「いや、(りく)は違うよ。高校が一緒だったんだ。そういえば陸、乃愛ちゃんたちと地元一緒だよ」

あたしの向かいに座っている陸さんが「そうなの?」と顔を上げた。彼は名前しか言わなかったから(あたしもだけど)今のところ素性は不明のままだ。

正面に座っているにもかかわらず、ここへ来てから初めて彼の顔をちゃんと見た気がする。

目の前にいるあたしに、というよりあたしたちに興味がないと言わんばかりに、あさっての方向を見てぼうっとしていたから。

「中学どこ?」