どんなに楽しくても、どんなに笑っていても、必ず悠聖を思い出してしまう。悠聖の隣で笑っていた自分を思い出してしまう。

ここに悠聖もいたらいいのにって、どうして悠聖はいないんだろうって──どうしても考えてしまう。

「そっか。わかった」

「あ、でも、すっごい嬉しい。ありがとう」

「よかった。俺付き合う時も付き合ってからも、好きとかちゃんと言ってなかったじゃん?」

「あ、うん、そうかな、そうかも」

あたしも言ってなかったけど。

「今回告る時はちゃんと言おうって決めてたから、けっこうすっきりした」

椎名はあたしの返事がわかっていたんだろうか。そう思うほど、声も表情も朗らかだった。

あたしは、たまに見せてくれるその笑顔が大好きだった。

「でもせっかくまた遊ぶようになったんだし、これからも友達でいてよ」

「あ、うん! もちろん! ……ほんとにありがとう」

あたしはたぶん──カラオケで宗司くんに会わなかったら、椎名の気持ちに応えていたと思う。再会して、たくさん話して、気持ちが揺れたのは確かだった。

だけどそれは恋じゃない。

懐かしい人に、初恋の人に会ったことで気持ちが高ぶって、錯覚してしまっただけだと思う。そんな勘違いをしたまま付き合っていたら、きっといつか傷つける結果になっていた。

宗司くんの家に行った日、悠聖のことをまだどれほど好きか痛感してしまった。

あたしはまだ、悠聖のことでいっぱいで。

他の誰かを好きになるなんて考えられなかった。