「チナ、ちょっといい?」

放課後、教室の掃除当番を終えたあたしに声をかけてきたのは友哉だ。

ついさっきまで廊下掃除なんかそっちのけで「カラオケ行こうぜー!」とかなんとか騒いでいたはずなのに。

「なに?」

「中庭に椎名待たせてるから行こう」

「え? なんで?」

「椎名から聞いた。チナ怒らせちゃったかもって言ってたから、じゃあ謝れよっつっといた」

椎名に怒ってるわけではないんだけど。まさか気にしてると思わなかった。

「……ん、わかった。ごめん」

最悪だ。自分からちゃんと謝ろうなんて思ってなかった。それどころか、椎名のほうから謝ってくれるなんて。