宗司くんの家はカラオケから本当に近かった。目と鼻の先っていうんだろうか。
促されるままに部屋へと連れられて鞄を置くと、クローゼットをあさり、中から長袖のパーカーを取り出してあたしに差し出した。
初めて入った宗司くんの部屋は、ひと言で言えば殺風景。つかみどころのない感じが、なんとなく宗司くんらしいと思った。
「とりあえずこれ着てて。染みになっちゃうから洗濯しよ」
「え、でも」
「誰もいないし、まだまだ帰ってこないから心配しなくていいよ。乾燥機もあるからすぐ乾くし」
「で、でも、」
「なに今さら遠慮してんの?」
あたふたするあたしを見て小さく笑う。
本当に今さらだ。だけどまさか洗濯までしてくれると思わなかった。着替えを貸してくれるのかなって考えていたのに。
「……ありがとう」
素直に受け取ると、宗司くんは一旦部屋から出ていってくれた。
ネクタイを外してベストとシャツを脱ぐ。あまり着ないベストをたまたま着ていたおかげで、下着とスカートはなんとかセーフだ。
借りたパーカーを羽織るとスカートがすっぽり隠れた。
「もう入っていい?」
ちょうどパーカーのチャックを締めると同時に、ドアの向こうから宗司くんの声がした。
「あ、うん」
ドアを開けた宗司くんは、洗濯するね、とあたしの脱いだ制服を拾う。
しばらくすると、コーラとオレンジジュースのペットボトルを持った宗司くんが戻ってきた。
ベッドに背中を預けて床に座るあたしにオレンジジュースを差し出す。それを受け取ると、にっこりと笑ってあたしの右隣に座った。
「ほんとごめんね。染みになんないといいけど」


