この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



花火が始まる少し前。友哉が知っていた穴場スポットで今か今かと待ちわびていると、椎名がどっちかわからない方向を指さして言った。

「え? 今?」

「うん。嫌だった?」

嫌ではない。ただ驚いただけ。

あたしたちだけ抜けてもいいのかと少し悩んだけれど、戸惑いながらも頷いて、乃愛たちにひと言断って会場をあとにした。

断る理由がなかったからついて行った、というのも間違っていないのだけど、もっと正直に言えば、あの場にいるのは少し辛かったのだ。

自分が嫌になる。

どこにいてもなにをしていても、バカみたいに悠聖のことばかり思い出して、あるはずのない影を探してしまうのだから。

人混みをくぐり抜けて会場から離れ、設置されていたベンチに並んで座る。距離はあの頃のまま。近くもなければ遠くもない。

もうすぐ花火が打ち上げられる時間だから、会場から少し離れただけであまり人がいなかった。

「なんかごめんな。急に連れ出して」

「ううん、大丈夫だよ。どうしたの?」

「ちょっと話したいことあって」

首をかしげると、椎名は目を合わさずに指先で前髪をいじる。癖は変わってないんだ。

「……なんていうか。俺けっこう昔のことよく思い出すんだけど」

「うん?」

「思い出すのって、だいたい中二の頃なんだよね」

それを聞いて、あたしと付き合っていた頃かと思ってしまうのは自意識過剰だろうか。