椎名と再会して中学時代のメンバーで集まった日から、またみんなで遊ぶことが多くなった。

夏休みには友哉の提案で、高校の近くで開催される夏祭りに行くことになった。悠聖とも毎年来ていた夏祭り。今年からは花火もあるようだった。

今年も張り切って浴衣を着たあたしと乃愛、それに瑞穂と梓。

毎年恒例の乃愛と同じ髪型にもいい加減慣れて、浴衣を着た乃愛は相変わらず最強ではあるものの、もう比べて落ち込んだりはしなくなった。

可愛いと言われれば「ありがとう」と素直に微笑むこともできるようになった。

わいわいとはしゃいでいる男の子たちの奥には、ひとりで黙々とたこ焼きを頬張る椎名がいる。

変わったんだか変わっていないんだかよくわからない。中二の頃に来た時も、確かたこ焼きを食べていた気がする。

目が合った椎名は、たこ焼きを口に運んでいた手を止めた。しばらくあたしをじっと見て停止して、次第に頬がゆっくりと緩んでいった。

「やっぱり似合うな、浴衣」

やっぱり変わった。あの頃はこんな風に言ってくれなかったのに。

三年前に言ってくれなかった台詞を、自然に笑って言ってくれるなんて。

「……ありがとう」

あの頃もそう言ってくれたらよかったのに。

あれ? あたしが聞いてなかっただけで、言ってくれてたんだっけ?

どっちにしてもあたしは、なにを考えているのかわからなくて、不器用で、でも本当は優しい椎名が好きだったんだ。

あの頃とは違い、夜に出歩くことなんてもうさほど珍しくはない。だけどやっぱり夏祭り独特の雰囲気や夏の香りは気持ちを高ぶらせる。

何度来ても新鮮な気持ちで楽しめるから不思議だ。

「チナ、ちょっとあっちのほう行かない?」