この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



宗司くんがモテるのは……まあ別に、まったく、微塵もわからないわけじゃない。

ムカつくから詳しくは割愛するけど、女の子が憧れる要素が溢れている。

「俺はチナちゃんがいいんだよ」

一瞬心臓が高鳴ったことは否定できない。不意打ちで、まっすぐ目を見つめてそんな台詞を吐かれたら、きっと誰でも驚くと思う。

けれどすぐに落ち着きを取り戻した。宗司くんにとって、女の子にそういうことを言うのなんかきっと珍しくない。

たとえ一瞬でも意識したあたしがバカだ。

「いいよそういうの。それ女の子を落とす常套手段?」

「違うよ。別になにも言わなくても勝手に落ちるから」

まるで当たり前かのように言う宗司くんは、いったい今まで何人の女の子を泣かせてきたんだろう。宗司くんのファンの子全員に今の台詞を聞かせてやりたい。

「あのさ。なんか勘違いされてると思うけど、俺誰にでもこういうこと言うわけじゃないよ」

「嘘つき」

「嘘じゃないよ。ていうか、さすがの俺も世話になった先輩の元カノに遊びで手出すとかできないって」

それはわかる。高校で再会してからの宗司くんは優しいし、『先輩の彼女』として扱ってくれていたことはわかってる。

「……もういいから。やめてよ」

「俺一応告白してるつもりなんだけど」

告白、って。

宗司くんがあたしを好きだなんてありえない。

ありえないのに、なんて返せばいいかわからない。

目を合わせたまま黙り込んだあたしを見て、宗司くんは小さく笑った。

「まあ、どうしても辛かったら俺んとこ来ればいいよ」

この人はなにを考えてるんだろう。

昔からわからなかったけど、わかるほど一緒にいたわけじゃないけど。宗司くんのことは本当に読めない。なにを考えているのかまったくわからない。

いったいどういう意味なんだろう。

もしかして体目当て? 暇つぶし?

わからない。わからないけど、宗司くんと付き合うなんて絶対にありえない。だって本気なわけがない。

それだけは間違いなかった。