そんなこと自分で言っていて虚しくないんだろうか。
失恋で傷ついている女の子を慰めるために、寂しさを紛らわせるために、彼氏になってあげるってこと?
宗司くんと付き合うなんてありえない。なのに宗司くんの言っていることを完全否定することができなかった。
お互い様。悔しいけどその通りだったのだ。
あたしだって好きでもなんでもなかった。一線を超えることはなかったとはいえ、その場の辛さをごまかすためだけに、誘われる度に会いに行った。
こんな風に、大好きな人を失って辛かった時に。
正直に言えば――悠聖と出会わなかったら、最終的には宗司くんと付き合うことを選んでいたかもしれない。
確かにあの頃と状況は似てる。
でも、今は。
「……あの頃とは違う」
あたしは今、ただ寂しい時に相手をしてもらうだけの都合のいい関係なんて求めていない。あの頃みたいに、弱くなんてない。
あたしの強がりをかき消すかのように、サアッと風が吹いた。宗司くんは目にかかったブラウンの髪を指先で流して、すべてを見透かすように微笑む。
「それに、宗司くんだけは絶対に嫌」
「はは。ひどいなあ」
そう言いながら、どうってことなさそうににこにこと笑う。こういうところが苦手だ。
「ていうか宗司くんモテモテじゃん。一年生の女の子に『前川先輩と付き合ってるんですか?』とか訊かれるよ」
宗司くんは一年生……いや、校内の女子から絶大な人気を誇っている。よくあたしに話しかけてくれるから、女の子たちに勘違いされることも少なくない。
なるべく静かに平和に過ごしたいのに、とんだ迷惑だ。
「あたしなんかより、好きだって言ってくれる女の子と付き合いなよ」


