この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



悠聖は――年下のあたしがこう言うのも変だけど、悩んだり迷ったり立ち止まったりする、普通の男の子だったんじゃないのかな。

あたしが甘えていたから、弱い部分を見せられなかったんじゃないのかな。

だけどね、悠聖。あのね。

かっこ悪くてもよかったんだよ。かっこいいだけの悠聖が好きなわけじゃないんだよ。

どんなにかっこ悪いところを見たとしても、それが悠聖なら全部好きになれるんだよ。

あたしのわがままを聞いてくれるから、お願いを全部叶えてくれるからこんなに好きになったわけじゃないんだよ。

あたしのことを喜ばせようとしてくれる、その気持ちが嬉しかったんだよ。

あたしのことを丸ごと受け入れてくれる、その器の大きさを尊敬してたんだよ。

悠聖みたいな人になりたいって、ずっと憧れてたんだよ。

悠聖がそうしてくれていたように、あたしも悠聖の全部を受け入れたかったんだよ。

「チィは愛される才能があるよ。だから絶対大丈夫だよ。この先も絶対、ずっと笑って過ごせるから」

一年前の今日も同じことを言ってくれたね。

なのに、どうしてかな。

どうしてあの日みたいに、ふたりとも笑ってないのかな。

どうしてあの日みたいに喜べないのかな。

どうしてあの日みたいに、ありがとうって言えないのかな。

笑えない。なにも言えない。

だってあたしが一番愛していてほしいのは、悠聖なのに。

「チィ、ずっと笑ってて。俺、チィの笑った顔が世界で一番好きなんだ」

三月十九日。ふたりの二年記念日。あたしの、十六歳の誕生日。

あたしと悠聖は別れた。