「どうやったら好きになってもらえるかって必死だったよ。なんとなくお前が俺のこと意識してんのは気づいてたけど、確信はねえし、外したらめちゃくちゃかっこわりーだろ」
悠聖があたしと同じ気持ちでいてくれたことが嬉しい。今こうして本音を話してくれていることが嬉しい。
だけど欲を言えば、もっともっと早く聞きたかった。
「だから、これは勝負に出なきゃなと思って誕生日に誘ったんだよ。お前がどうしたら喜んでくれるかって必死に考えて、いろいろ調べた」
あの日も悠聖はいつもと変わらなかった。
そんなに必死になってくれてたなんて、まったく気づかなかった。
「で、これが最後の悪あがき」
体を起こした悠聖は、ベッドの横にある棚から箱を取り出した。
あたしも起き上がって、差し出されたそれを受け取る。
戸惑いながら包装紙を剥がしていく。
箱の中から顔を出したのは、ブランド物になんて縁も興味もないあたしでさえ知っている有名なブランドの、ピンク色の長財布だった。
「誕生日プレゼント」
プレゼントはいらないって言ったのに。悠聖の誕生日は一緒にいられないから、あたしだけプレゼントをもらうのは申し訳ないからって言ったのに。
またサプライズをしてくれるなんて、悠聖はずるい。
今日は絶対に泣かないと決めていたのに、そんなのどう考えても無理だった。
「アクセサリーにしようと思ったんだけど、ペアリングもあるし……それはちょっとな。財布なら長く使えるし……って、ほらな。最後まで悪あがきして、俺ガキだろ?」
首をぶんぶんと横に振って、両腕で財布をぎゅっと抱きしめた。
ゆっくりと伸びてきた悠聖の手があたしの頬を包む。