――悠聖。悠聖。悠聖。
あたし、なにも知らなかった。
いつだって悠聖の優しさに甘えて、わがままばかり言っていた。
東京に行くと告げられた日、あたしは真っ先に悠聖を責めた。
全部全部、あたしのわがままでしかなかったのに。
あたし、どうしてなにも訊かなかったんだろう。
どうして悠聖が悩んでいることに気づいてあげられなかったんだろう。
全部ふたりの未来に繋がってるって、悠聖はあたしのことを最優先に考えてくれてるって、信じて疑わなかった。
お父さんやお兄さんの気持ち、あたしの存在、悠聖自身の夢。
悠聖はどれだけ悩んだんだろう。
……あたしは、どうしてこんなにバカなんだろう。