この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。




「お前、ほんとに見送り行かねーの?」

悠聖といられるのはあと二日。

悠聖の家から帰ってきたあたしをあたしの部屋で待っていたのは春斗だった。

「……うん。行かない」

友達みんなで行くらしい春斗に、お前も来いとしつこく言われたけれど、絶対に行かないと言い張った。

「……まあ、無理強いはしねえけど」

お見送りなんてしたら泣かない自信がない。去っていく後姿を見たら、あたしは絶対になりふり構わず泣きわめいて引き留めてしまう。

きっと悠聖もあたしに見送られることは望んでいない。

そんな気がした。

「……あのさ。悠聖には口止めされてたんだけど」

ベッドに座っている春斗の隣に座った。

「お前ら一回喧嘩したろ」

二年前の夏、一度だけした喧嘩。

「え……したけど、それがなに? 悠聖から聞いたの?」

「聞いたっつーか。あいつ祭り行かねえって言うから、話の流れで」

あの日、悠聖はバイトだと言っていた。

嘘だとは気づいてはいた。だけど悠聖が嘘をついたのには理由があるんだと思っていたし、喧嘩をぶり返したくもなかったから聞かなかった。

迎えに来てくれた。嫌いになるなんてありえないと言ってくれた。

それがあたしにとっての真実だったから。

「あいつ、昔から喧嘩強くて有名でさ」

悠聖が昔は荒れていたのかもしれないとなんとなく気づいてはいた。後輩にちょっと怖がられていた気がするし。

だけど、誰かを殴ったりする悠聖をどうしても想像できなかった。

だってあたしの知ってる悠聖は、いつも笑っていて、穏やかで、優しい。

それに、その話が今なんの関係があるのかわからない。