「ここでさ、初めて会ったよな。覚えてる?」
「覚えてるよ。友哉が声かけてくれたんだよね」
今よりずっと背も小さくて、ずっと幼かった友哉。
「あん時さ。ずっと気まずそうにしてたのに、俺が連絡先訊いた時、ちょっと笑ってくれたろ」
「うん。嬉しかったから」
「笑った顔見た時さ、この子ぜってー笑ってた方が可愛いじゃんって思ったんだ」
友哉はずっと優しかった。
あたしが怒っても、いつも笑っていた。
太陽みたいな笑顔は今でも変わらない。
「けど、あの頃より今の方がすっげえいい顔してる」
「……そう、かな」
「そうだよ。……去年の卒業式の日、俺が言ったこと覚えてる?」
非常階段で休憩していたあたしのところに来た友哉は、誕生日プレゼントをくれて――「別れてからもずっと好きだった」って、「三年間ずっとチナだった」って、言ってくれた。
「……うん」
だけど、友哉が今言おうとしているのはきっとそれじゃない。
そのあとに交わした――必ず守ると言った、約束のことだ。
「幸せになって、チナ。もちろん、悠聖くんと」
去年は笑って答えられたのに。
友哉の気持ちが嬉しいはずなのに。
あたしはどうしても頷けなかった。


