「チナ、一緒に帰んない?」
放課後、乃愛と帰ろうとしていたあたしを呼び止めたのは友哉だ。
「どうしたの?」
「どうしたのって、たまにはいいだろ」
中学の頃はよく乃愛と三人で下校していたけれど、高校に入ってから誘われたのは初めてだった。
「じゃあ乃愛と三人で……」
「あ、あたし用事思い出した」
驚いて乃愛を見た。さすがに白々しすぎる。
乃愛は友哉に「ちゃんとチナのこと送ってあげてね」と微笑んで、さっさと帰ってしまった。
学校を出ても電車に乗っても、友哉が振ってくるのはなんでもない世間話ばかりだった。
それに対しての困惑と、……悠聖のことで頭がいっぱいなあたしは、ほとんど上の空でうまく受け答えができずにいた。
そして連れてこられたのは、友哉と出会った、中学校の近くにある小さな公園だった。
「やっぱさみーな」
無邪気に笑って、ブランコを囲んでいるポールに腰かける。
「なに突っ立ってんだよ。座れよ」
「あ、うん」
隣に座ると、友哉は「ふう、」と白い息を吐いた。
「久しぶりだな、ここ」
「そうだね」
中学生の頃はよくみんなで溜まっていたのに、高校に入ってからは一度も来ていない。
あたしが悠聖とばかりいたからだ。
久しぶりに来たこの場所は、ずいぶんと遊具が減っていた。
「ねえ、友哉……アズ、いいの?」
「大丈夫だよ。てか、チナと話しておいでって言ったのアズだからな」
あたし最低だ。
悠聖と離れることを知ってから、あたしは毎日落ち込んでばかりだった。
みんなはそんなあたしをいつも気遣ってくれていた。
わかってるのに。心配かけてるのに。
どうしても、空元気さえも湧いてこなかった。


