二年四組の教室を覗くと、さっそく見つけてしまった、目立つに決まっている金髪のツンツン頭。
すでにクラスの男子のほとんどじゃないかってくらいの人数が輪をつくっていて、その中心にいる――少し懐かしい友哉の姿。
ドキドキが大きくなった。
だって友哉の座っている席が友哉の席なら、あたしの隣ってことになる。
「あ、チナ! 乃愛!」
丸い目を細めて、八重歯を見せてニカッと笑って、あたしたちに手を振った。
「チナ、俺ら席隣っぽいよ。よろしく!」
あたしは本当に自分勝手だ。
友哉ならきっと、何事もなかったみたいに、普通に接してくれると思っていた。
いつだってきっかけをくれるのは友哉だ。
「うん、よろしくね」
ほっとして席に向かうと、あたしの席に知らない男の子が座っていた。
「おい、よけろよ椎名。そこチナの席だから」
「ああ……ごめん」
椎名と呼ばれた男の子は、友哉とあたしをちらりと交互に見てから、ひと言「すんません」と言って立ち上がった。
ちょっと猫背で、なんだかすっごくだるそうに、上から糸でつられているみたいに。
男の子にしては長めの黒い癖毛。前髪が目にかかっていて、そのせいかちょっと目つきも悪い。邪魔なら前髪切ればいいのに。