この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。




悠聖の隣にいられる期間は、あとたったの一ヶ月。

これからも当たり前に会えると思っていたあたしにとって、あまりにも短かった。

悠聖はバイトを辞めて、毎日会うようになった。あたしの部屋だったり、悠聖の部屋だったり、たまに出かけたり。

あたしはたくさんたくさん、現実逃避するように悠聖を求めた。あたしの気持ちをわかってくれているのか、悠聖も同じ気持ちなのか、あたしが求める度に応えてくれた。

三月一日。悠聖たちの卒業式。

夜は卒業祝いをすると聞いていたから会わない約束をしていたのに、夜中に悠聖から電話がきた。

離れる不安から夜なかなか寝つけなくなっていたあたしは、すぐに電話に出た。

電話の向こうからは、車が通る音がかすかに聞こえる。外にいるみたいだ。

『もしもし? 寝てた?』

「ううん、起きてたよ」

この一年は毎日のように会っていたから、たった一日ぶりなのにすごく懐かしく感じる。

いつでも会えるのが当たり前だった。学校で会えるのも、休日に会えるのも、全部全部当たり前だった。悠聖の隣にいられるのが、当たり前だった。

これからは、会えないのが当たり前になるんだ。

『今さ、お前んちの近くにいるんだけど、ちょっと出てこれる?』

「えっ? なんで?」

『渡したいもんあって』

急いで布団から出てカーテンを開ける。左右に首を振って悠聖の姿を探すと、曲がり角から、まだ制服姿の悠聖が見えた。

「い、今行くから! 待っててね!」

カーテンを閉めて、上着も羽織らずにあわてて階段を駆け下りる。親が起きないように、そっと玄関のドアを開けて外に出た。