この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



悠聖の優しさが、初めて痛かった。

悠聖はいつだってあたしのことを最優先に考えてくれていた。

わかってる。わかってるのに、隠されていたことが、哀しい。

「もしかしたら地元の……地元じゃなくても、せめて近くの支社になるかもだったし、とりあえず決まるまでは黙ってようと思ってたんだけど……決まったら決まったで、言い出せなかった。……ごめんな」

あたし、どうしてちゃんと就活のこと訊かなかったんだろう。

答えはひとつだった。当たり前に一緒にいられると思ってたからだ。

悠聖と離れるなんて、悠聖があたしと離れようとするなんて、考えたことすらなかった。

「……いつ行くの?」

視界がぐにゃりと歪んだ。涙なのか眩暈なのかわからなかった。

悠聖の表情が、よく見えない。

「……来月の、二十日」

三月二十日――。

あたしたちが付き合った記念日の、あたしの誕生日の、翌日。

「……いつ帰ってくるの?」

「研修は最短一年。……でもそのまま違うとこに配属されたら、しばらく帰ってこれないと思う」

最短一年って、じゃあ最長は何年? しばらくって、何年?

それは途方もなく長い年月に感じた。

「……行かないで」

悠聖と、離れる?

そんなの嫌。絶対に嫌。

「ごめんな」

「離れるなんて嫌だよ……」

「……チィ。ごめんな」

ぎりぎりのラインで堪えていた涙が、ついに涙腺まで到達した電流の刺激によってぽたぽたとこぼれ落ちた。

どうして言ってくれなかったの?

どうして離れなきゃいけないの?

どうして離れずに済む道を選んでくれなかったの?

あたしのことは考えてくれなかったの?

悠聖はあたしと離れて寂しくないの?