二月に入ると、悠聖たち三年生は卒業式まで休みになる。

高校に入学してからは毎日会えるのが当然になっていたけれど、これからはまた会う約束をしなければ会えない日々に戻ってしまう。

その寂しさを埋めるように、あたしたちは頻繁に連絡を取り合って時間が許す限り会っていた。

卒業式を二週間後に控えた今日も悠聖の部屋にいた。

並んでソファーに座って、まるで日記を読み上げているみたいにたくさん話をした。

けれど今日の悠聖は、あたしが話しかけてもどこか上の空で――なにか考え込んでいるようで、いつものように笑ってくれない。

「悠聖? どうしたの?」

はっとしてあたしを見た悠聖は、いつものように微笑んでいなかった。眉尻を下げて迷うように目を泳がせる。

悠聖の左腕に両腕を絡めてぴったりと密着していたあたしは、腕を離して悠聖の顔を覗き込んだ。

「……チィ、話がある」

表情を変えることなく、つぶやくように力なく言った。

表情も声のトーンも、いつもの悠聖らしくない。

いい話じゃないのだと直感するにはじゅうぶんだった。

「……え? なに?」

心臓が小さく跳ねた。

一度で落ち着くことはなく、徐々に大きな音になっていく。

「俺、チィにずっと隠してたことある」

隠し事? 悠聖があたしに?

ずっとって……そんなの全然気づかなかった。

悠聖に限って浮気はないと思う。だとしたら、なに?

困惑をあらわにして首をかしげた。隠し事の内容がまるで思いつかない。

ソファーの背もたれに体を預けて座っていた悠聖は、なにかを決意したように起き上がり、あたしの正面に座り直した。

両手を握ると、小さく深呼吸をして、それを口にした。