*
大晦日の夜、あたしたちは近所の神社にいた。
悠聖とふたりで二度目の年越し。去年と同様、初詣に連れて行ってくれることになったのだ。
去年と同じ時間、同じ場所、同じ人の隣。去年と同じ行列に、去年と同じように並んでいる間に年が明けてしまい、悠聖とふたりで新年の挨拶をした。
おみくじも去年と同じようにふたりとも大吉を引いて、ふたりで笑い合った。
「悠聖、なんてお願いしたの?」
「言ったら叶わねえって去年も言ったろ」
「去年のお願いは叶ったの?」
「まあまあかな。チィは?」
「まあまあかな」
「真似すんなよ」
「じゃあ去年はなにお願いしたの?」
「言わねーよ」
「ええー! 叶ったなら教えてくれてもいいじゃんっ」
「チィちゃんが先に教えたら俺も言う」
「……それはなんか嫌だ」
「いいじゃん、教えろよ」
「い、や、だ」
「じゃあ今年はなにお願いしたの?」
「……言ったら叶わないって言ったの自分でしょ」
悠聖が神様になんてお祈りしたのか、まったく予想がつかない。そもそも神様の存在を信じているのかすら疑わしい。
聞きたくてしょうがなかったけれど、悠聖は断固として教えてくれなかった。
あたしも言いたくないから、結局最後まで聞けなかった。