膝に乗っているあたしの目をまっすぐ見て、濡れた髪を大きな手ですくう。
「……俺ね、チィの素直なとこが好き」
「え?」
「家族想いなとこも友達想いなとこも好き」
「あ、うん」
「いっつもにこにこしてて、こっちまでつられる」
急にどうしたんだろう。
あたしは散々どこが好きだとか言ってきたけれど、悠聖が自分からこんなことを言ってくれるのは珍しかった。
「好き好きって言ってくれるとこも、ちっちゃいのも好き。俺の膝乗って甘えてくんのすっげー可愛い」
「……うん」
「お前あんまり自分に自信ないみたいだけど、すげえ可愛いよ」
「悠聖、ほんとにどうしたの?」
それには答えずに、おでこにくっついたあたしの前髪に触れた。
小指で、優しく横に流す。
「泣き虫なとこも好き。俺がなんかする度に嬉し泣きしてくれるよな。こいつのためならなんでもしてやろうって思えるよ」
悠聖は、何度も何度もあたしに温かい涙をくれた。優しく穏やかな気持ちを教えてくれた。悠聖はいつもあたしのことを考えてくれた。
「『悠聖』って呼ぶ声が好き。なんか……うまく言えねえけど、お前が呼ぶ『悠聖』は違う気がするんだよな」
やっぱり悠聖は、あたしと同じ気持ちでいてくれる。
「お前、俺のこと完璧だって言ってたけど、俺の中ではお前が完璧だよ」
「そんなわけないじゃん」
「だろ? 俺も同じ。完璧なわけねえし、むしろ欠点だらけだし、俺のどこがそんなにいいんだよって思ってる」
なんだ。悠聖も同じだったんだ。
悠聖に欠点がないなんて思っているわけじゃない。


