「そっか。気持ちいいだろ」
「うん。しょっちゅうさぼりたくなる気持ちわかっちゃった」
「ほんと来てくれると思わなかったよ。誘ってよかった」
「来ないと思ってたのになんで誘ってくれたの?」
「チィと屋上来れる機会なんか、もうないかなーと思ったんだよ。もうすぐ卒業だし」
悠聖はいつもあたしと同じ気持ちでいてくれる。ずっと一緒にいるから、考えることも似てきたんだろうか。
「そうだね。こんなにあっさりさぼれるなら、もっと来ればよかったなあ……」
これからも一緒にいられても、学校での思い出を作れるのは一年しかなかったのだと改めて気づく。
どうしてもっと早く気づかなかったんだろう。
「俺は小心者で真面目なとこも好きだよ」
結局、一緒に屋上へ行ったのはこの日が最初で最後だった。
たくさん思い出を作ったつもりでいても、悠聖との思い出はいくつあっても足りない。悠聖との時間はいくらあっても足りない。
もっともっと、悠聖といろんな景色を見たかった。