この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



それはあたしが最近一番好きな曲だった。悠聖の部屋でよくかかっているアーティストの曲。幸せな未来を約束する曲。

演奏にのせて悠聖が歌う。しっとりと流れるその音に、静かに耳を澄ませた。

「チナ?」

後ろのほうにいてよかった。あたしの頬にはいつの間にか涙が流れていた。

別にあたしのために歌ってくれているわけじゃない。あたしのために作ってくれた曲なわけでもない。

それなのに、あたしは感動してしまった。歌を聴いて泣いたのなんて初めてだ。

歌い終わった悠聖たちに、今日一番の大歓声が送られた。



出番を終えた悠聖たちはみんなに囲まれていたから、落ち着くのを隅っこで待った。

しばらくしてあたしのところへ来てくれた悠聖は、「お待たせ」と微笑んだ。

あまり時間がなくて結局ドレスから着替えられないまま後夜祭が始まってしまい、待っている間に着替えるべきだったと後悔する。

今度は悠聖と並んで隅っこに座ると、最初はベストカップルだと放送が流れた。

ステージ上にはカップルがずらりと並んでいて、その中心には、

「えっ? なんで春斗出てるの⁉」

「ああ、あいつ最近彼女できたから」

「えぇー……」

全然知らなかった。

ていうか、春斗はどこまで目立ちたがり屋なんだろう。

「俺らも出る? まだ間に合うよ」

「え、なんで? 嫌だよ」

「去年約束したじゃん、チィがうちの高校入ったら出ようって。せっかくドレスとスーツだしちょうどいいだろ。絶対優勝だよ」

「約束はしてないでしょ。ていうかあたしがあんなの出られるわけないじゃん」

「お前らほんと性格似てないよな」

目立ちたがり屋の春斗と、わりと引っ込み思案のあたし。