真っ暗だったステージがライトで照らされると、そこにはドラム、ギター、ベースと、マイクスタンドがふたつセットされている。

悠聖のクラス、バンドだったんだ。

すぐにステージに現れたのは、悠聖に春斗に、あたしもよく知っている、いつもふたりと一緒にいる男の人たち。みんなさっきまで制服姿だったのにスーツ姿になっていた。

悠聖って楽器は弾けるのかな。そんな話聞いたことがないし、部屋にも楽器なんてなかったけど。

それとも、もともと弾けるわけじゃなく、もしかして密かに練習してたのかな。

男の人たちが楽器を手に取る。残ったのはマイクスタンドが二本。悠聖が立った場所は春斗の隣――ふたつ並んでいるマイクの前。

ツインボーカルだ。

「悠聖くんボーカルやるの?」

あたしと同じく驚いている乃愛が、あたしのドレスをクイクイと引く。

「ううん、なにも聞いてない……」

「悠聖くんの歌聴いてみたかったんだよね! 絶対うまそうじゃん! てかスーツ姿かっこよすぎ!」

悠聖が学校祭で歌うなんて、なんとなく意外だった。

演奏が始まる。体育館に歓声が響く。

悠聖の嘘つき。歌うまいじゃん。

いつも一緒にいるメンバーだからか、音楽の知識なんてまったくない初心者のあたしでさえわかるほど息がぴったりだった。

みんなの歓声を浴びながら楽しそうに歌う悠聖。アーティストぶって調子にのって動き回っている春斗を見ながら、自分はその場から動かずに笑っているところが悠聖らしい。

最近流行しているアップテンポの二曲を歌い終えると、次はしっとりとしたギターソロからはじまった。体育館がシンと静まり返る。

前奏を聴いてすぐにわかった。