最初に考えたのは真っ赤なドレスだったのだけど、「それはさすがに絶対無理」と梓が断固拒否したのだ。
あたしは白いドレスにいろんな色のフラワーペーパーで作ったお花を散りばめて、同じもので作った花冠をセットする。
鏡の前に並んで見ると、本当に優勝間違いなしじゃないかと思うほどのハイクオリティーだった。
本番は大成功だった。
ドレスに身を包んで、あたしは乃愛と、瑞穂は梓と手を繋いで、みんなで選んだ結婚ソングが流れているステージに上った。
直前まで緊張のあまり屍のようになっていたあたしも、あてられたスポットライトとみんなの歓声に包まれると素直に嬉しかったし楽しめた。
「お疲れー!」
ステージ裏を通って下りると、待ち構えていたのは紀子さんを始め悠聖のクラスの女の人たちだった。入学してからあたしたちのことをすごく可愛がってくれている。
「みんな超可愛かったよー! めっちゃ写真撮ったし! 一緒に撮ろ!」
「悠ちゃんがねー、本番中ずっと『チィ可愛い』ってうるせーの」
冷やかされたというのに、悠聖は「だって可愛いだろ」とにこにこしている。
悠聖は人前でも平気でこういうことを言うからあたしが恥ずかしくなるのだけど、それ以上に嬉しくて、にやける口元を必死におさえた。
みんなで写真をたくさん撮ったり話したりしていると、悠聖はそろそろ出番だからと一旦教室へ戻っていった。着替える暇がないからドレス姿のまま見ることにした。
学校祭も終盤に差しかっていて、体育館は人で溢れ返っている。
前の方は三年生が陣取っているから、あたしたちは後ろのほうに座った。