五月のオリエンテーション、六月の体育祭を終え、イベントラッシュの一学期を締めくくるのは学校祭だ。

去年は部外者だったけれど、今年は悠聖と同じ在校生として参加できることが嬉しい。

中学三年間は学校祭でなにもしなかったあたしたちも、高校で初めての学校祭に気合いじゅうぶんだった。

なにせ規模が違う。各クラスに予算が与えられて、予算内で自由に演出をしていいらしい。

あたしのクラスが選んだのは、カラードレスでのファッションショーだった。女の子たちの提案に男の子たちも大賛成した。

そのアイディアが出たのも、男の子たちが大賛成したのも理由がある。

うちのクラスには乃愛という最強のモデルがいるからだ。

自分たちでデザインして、型紙をつくって、生地を縫うというなかなか本格的なもの。

出来上がったドレスを着るのはもちろん乃愛。

四着くらい作れるんじゃないかという話になり、背が高くてスタイルがいい瑞穂も着ることになって、……その流れでいくと、あたしと梓も着ることになった。

「みんなめっちゃ可愛い!」

「めっちゃ似合ってるー!」

乃愛はピンクと黒のドレスにカクテルハットをセットした、みんないわく小悪魔らしいデザイン。なんとも乃愛らしい。

瑞穂はマーメイド風のエメラルドグリーンのドレス。

最後までモデルをためらっていた梓は「できる限り目立ちたくないから黒とか紺とかでいい」とずっと言っていたのだけど、乃愛が「ステージ上がっといて目立たないとか許さない」と半ば脅しをかけながらデザインしたのは、白と紺のギンガムチェックのドレスだった。