「専攻科目、なににする?」

昼休み、パンをかじりながら瑞穂が言った。梓はあれからお弁当を持ってきている。自分で作っているらしい。

悠聖に「たまに弁当作ってくれたりしないの?」と言われて「しない」と即答したあたしとは大違いだ。

「あたしとチナは全部同じにするよ。得意科目もだいたい一緒だし。瑞穂とアズは?」

一年生のうちに専攻科目を選んで、それをもとに二年生以降のクラス分けを決めるらしい。

文系に理系、進学コースに就職コースとけっこう細かく分かれているから、専攻科目や進路調査を一緒にすれば同じクラスになれる可能性がかなり高いと聞いたのだ。

あたしと乃愛は三年間ずっと同じクラスがいいから、全部一緒にすると話していた。

「悩み中なんだよね。あたし、文系とか理系とかよくわかんないし」

勉強嫌いだし、と瑞穂が笑う。

「アズは?」

「わたしは文系だよ。大学も文系志望だし」

「そっかあ。アズは大学行くんだ。文系ならうちらと一緒だね」

「じゃああたしもそうする! ひとりだけ離れたら寂しいし」

中学生になった頃は慣れるのに精一杯で、一年先のことなんて考えられなかった。まあ慣れてからも考えられなかったけれど。

だけど高校生になると常に先のことを考えながら行動しなければいけない。

高校受験の時は、本格的に意識し始めたのは三年生の夏休み明けからだったけど、高校では一年生の時から受験が始まっていると聞いた。

あたしも短大への進学を意識して高校生活を送らなければいけない。いくら付属といっても、ただなんとなく過ごしてエスカレーター式にすんなり進学できるほど甘くはないはずだ。

まさにただなんとなく過ごしてきたあたしも、これから変われるんだろうか。

少しずつ、なにかが変わっていくんだろうか。