あたしはどれだけ悠聖に救われてきただろう。

「……嬉しい。信じられないけど。ありがとう、悠聖」

「どういたしまして。時間遅くなったけど、誕生日プレゼントいる?」

「え?」

本当に遅い時間だ。もう日付が変わろうとしている。

「プレゼントないのかと思ってた」

「んなわけねーだろ」

「だってもうすぐ誕生日終わるよ?」

「だからだよ。誕生日の最後にいいことあったら、いい誕生日だったって思い出に残るだろ」

立ち上がった悠聖がクローゼットから取り出したのは、手の平サイズの小さな箱。

「開けていい?」

「いいよ」

リボンをほどいて箱を開ける。

「……指輪」

サイズ的にアクセサリーだろうな、とは思っていた。

だけど想像したのはネックレスとかブレスレットだったのに――まさか指輪をくれるなんて。

「あ、プロポーズじゃねーからな。安物だから」

また隣に座ってイタズラに笑う。

悠聖はいつもそうだ。あたしはこんなに嬉しいのに、そうやってふざける。

「まだ高校生だからそれで許して。ちなみにペアリングだよ」

言いながら、今度はパソコンが乗っているデスクの引き出しを開けて、同じデザインの指輪を取り出した。

自分の指にそれをはめて、あたしが持っている箱から指輪を取って、あたしの右手の薬指にそっと飾られる。

ふたりの右手の薬指に、同じ指輪が光った。

「……ありがとう。嬉しい……」

「チィはほんとによく泣くよな」

悠聖の首もとに手をまわしてしがみついた。

この気持ちをどう言えば伝わるのか、どう表現したらいいのかわからない。

「……悠聖」

「ん?」

「……だいすき」

こんなの泣かないわけがない。泣かない女の子なんているのかな。

冷たい涙しか知らなかったあたしに、悠聖はたくさんの温かい涙をくれる。

悠聖はどれだけあたしに〝幸せ〟をくれるんだろう。

悠聖も、あたしといて幸せだと思ってくれてる?

ずっと一緒にいたいって――あたしと同じように、思ってくれてる?