「不思議だよな。特別タイプだったわけでもないのに、お前のこと好きになってからお前がタイプになった」

それはわかる。あたしだって最初から悠聖のことをかっこいいと思っていたわけじゃない。

なんなら茶髪にピアスで背も高くて、ちょっと怖そうで、完全に苦手なタイプだった。

それなのに今は、全部全部大好きになった。

今まで好きなタイプも特になければ男の人を第一印象でかっこいいと思うこともなかったのに、今はどんな人がタイプかと聞かれたら迷うことなく「悠聖」と即答する。

「チィはさ、なんていうか……愛される才能があるよ」

――愛される才能、って。

そんなこと初めて言われた。

「……そんなの、あたしにあるわけないじゃん」

「あるよ。実際にみんなに愛されてんじゃん」

「……それって才能なの?」

「立派な才能だよ。お前はなんていうか、自然と人を惹きつけるんだろうな」

「それは悠聖でしょ」

「俺お前が思ってるほど……これさっきも言ったな」

短く笑って、あたしの頭をくしゃくしゃと撫でた。

ずっとずっと、自分に自信がなかった。乃愛にもよく「なんでそんなにネガティブなの?」と言われる。

どうしてかなんてわからない。とにかく、ただただ、自信がなかった。

自分の長所なんて全然わからないのに、短所はいくらでも出てくる。わがままで自分勝手で優柔不断で――考えただけで悲しくなるくらいある。

そんなあたしをいい子だって、好きだって言ってくれる。

どうして悠聖はこんなにも、あたしのことを認めてくれるんだろう。受け入れてくれるんだろう。

あたしが自然と前を向けるような言葉をくれるんだろう。